飛鳥部勝則『誰のための綾織』盗作認定は妥当か

――回避を強要されたプレテクスト≠ニしての『はみだしっ子』――

 


はじめに

 このページは、飛鳥部勝則『誰のための綾織』(原書房 2005年5月)に、三原順『はみだしっ子』(白泉社 1976−1981)の言説が引用され、盗用と認められて、飛鳥部勝則『誰のための綾織』が書店より回収・絶版の処分を受けた事件を扱ったものである。
 そもそものことの起こりは、発売直後からウェブログの作者たちが、この同一性に気づき、検証サイトが立ち上げられて、出版社に問い合わせのメールを発したことから始まるのであるが、その経緯については検証サイトミラー)の方が詳しいので、そちらを参照されたい。

 本ホームページはその結論と処遇に対し以下の理由から疑義を呈すものである。詳しくは「詳論」を参照されたい。

→詳論(四百字詰め原稿用紙36枚)
→詳論の補足説明(2007年6月3日)
→詳論の付記(2007年6月24日)

■ 理由 ■

 飛鳥部勝則『誰のための綾織』は、四つの作品を織り込んだパスティーシュである。四つの作品とは以下である。

・アガサ・クリスティー『アクロイド殺人事件』…記述の方法としての縦糸
・アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』…舞台設定としての横糸
・横溝正史『本陣殺人事件』…密室トリックとしての横糸
・三原順『はみだしっ子』動機・心情としての横糸

 『誰のための綾織』とは、そもそも飛鳥部がデビュー十作目の記念碑として書いた作品であり、過去その推理小説の道に入るにあたった当時、多大な影響をもたらしたであろう作品を題材として選び、織り込むことによって自らの作品を成すことを目的とした作品であると考えられる。
 『はみだしっ子』そのものも、引用の仕方から、動機・心情に該当する部分以外は「メルクマール(指標)」としての役をになっている可能性が高いことから、飛鳥部が踏まえた方法は四つともにパスティーシュとして何ら問題なく、四つともに著名な作品であることから、盗作との認定は全く理にかなわぬ判断である。

 以上

堀川成美 (2007年3月24日)

* 堀川成美の経歴や近況等は「堀川成美ブログ」を御覧ください。


■ 目次とその解説 ■

確認ごと・・・散文と韻文の違いなど

飛鳥部勝則『誰のための綾織』盗作認定は妥当か
――回避を強要されたプレテクスト≠ニしての『はみだしっ子』――
・・・本論

・・・補足説明・・・・・・本論の補足解説

・・・付記・・・・・・本論の付記
 

資料1・・・『はみだしっ子』への引用部分比較

資料2・・・『はみだしっ子』全14巻のうち、途中の4巻と少しに偏った引用を確認する。

盗作とは何か・・・かねてより制作してある、初心者向けの盗作解説ページ

『はみだしっ子』あらすじ&作品紹介※「少女マンガ名作選」内のレビューページ

『誰のための綾織り』書誌・梗概

検証サイトミラー・・・ホームページ上にあった検証サイトが消えていたので、そのミラー

参考・リアル高校生の作品 堀川成美『霧中』・・・『はみだしっ子』引用部分がある『綾織』の中の作中作『蛭女』は高校生が書いたという設定である。実際リアル高校生の小説というものを参考に見てもらうために、検証者堀川が高校生の時に書いた小説をあげておく。


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